みんなちがって、みんないい

 いつもの美容院へ、いつもの青年に髪を切ってもらいに行きました。「今日はどのくらい切りますか?」という青年の言葉に、いつもなら「いつもと同じに。」と答えていたものの、今回は「ちょうど一か月ぶりだから、一か月で伸びた分だけ切って。」と青年に言いました。
 彼は困った顔をするのです。「どうした?」と声をかけると、「今日は意地悪だな。大体はわかるけど、人間の髪の毛って、生える場所によって、伸び方が違うんだよ。それも、人それぞれで、どの場所がどれだけ伸びるなんて個人差があって、いろいろなんだよ。」とまじめな顔で言うのです。

 今までずっと、髪の毛は全体が同じだけ伸びるものだと思っていました。同じ長さだけ切っても、場所により、人により、みんな違う伸び方をするのですね。


 私は教室で子どもたちに授業をしているとき、同じ場所で、同じ時間に、同じことを教えても、どうして差が出るのか不思議に思ったことがあります。


 大村はま先生は、こんなことを話しています。


 「人でも馬でも『さあ』と言って走らせて、同じ速度で走っていくなんて奇跡は、まず起こりません。説明したらみな同じ程度にわかって、同じ歩調で進むと、本気で先生は信じているのでしょうか。スタートラインが一緒で、同じ教材で、同じ方法でしたら、同時にゴールに入らないのがあたり前です。そんなところから、劣等感や優越感が生まれるのです。それは教室の修羅場です。そしてそういった感情は、成長しようと思う心の一番の妨げとなるものなのです。」(小学館「灯し続けることば」より)


 この言葉を聴いたとき、ドキッとしました。そして、「みんなちがって、みんないい。」という金子みすずさんの詩を思い出しました。

2019年08月13日