新人顧問が新人戦へ向けて

 卓球の経験もない私が卓球部の顧問に、しかも男女両方の顧問になったことがあります。卓球部に入部してくる生徒も新人なのに、顧問の私も新人だったのです。
 部員のせいとがとても卓球が好きだったので、いろいろなところへ合同練習や練習試合に行きました。部員の技術向上のためでもあり、私が卓球のルールや練習方法を教わるためでもありました。
 夏の暑い日も子どもたちは休まず練習を続けていました。 夜、行われている社会体育の卓球の練習にも部員は参加し、大人と一緒に、一生懸命にボールをうっていました。なかなか勝てなかった卓球部が練習試合で少しずつ勝てるようになってきたのです。合同練習や練習試合も、高校生と一緒に行うことも増えてきました。

新人戦(団体戦)で奇跡が

 いよいよ新人戦がやってきました。子どもたちは、どきどきしながら当日を迎えました。個人戦では入賞するほどの大健闘でした。
 
 翌日の団体戦、みんなの心が一つになっているということを試合前の練習から感じました。試合に出る選手が練習を始めると、その周りに選手以外の部員がついて、飛んできたボールを拾っているのです。「ありがとう」「がんばってね」という言葉が、そこにはありました。
 試合が始まり、徐々に勝ち進んでいきました。気がつけば決勝戦です。最後のポイントが決まったとき、勝利の女神は部員たちに微笑みました。学校創立以来、初めての女子団体戦優勝です。

 優勝した喜びに、選手はみな、涙を流しました。
 応援していた部員もみんなが集まり、大喜びです。
 
表彰状を受け取るのは誰?

 決勝戦が終わり、表彰式の準備が始まりました。そのとき、私の周りに試合に出た選手全員が走り寄ってきました。
 「先生、表彰状って、試合に出た選手しかもらえないのですか。」と驚くようなことを聞いてきたのです。「しあに出た選手の分しかないだろうね。」と答えると、「違うんです。表彰式で賞状をもらうのは、私たち選手でなければいけないのですか。私たち、さっき試合に勝って、優勝したときうれしかったけど、でも、私たちだけの力で勝ったのではないし、いつも試合になると、私たちのために、ボールを拾ってくれて、応援してくれているから…」というのです。選手全員が、真剣な目で私を見ていました。

みんなで一つ

 いよいよ表彰式。「優勝○○中学校」と呼ばれたとき、前に出てきた部員は、今日の試合に出られなかった部員二人でした。表彰状と優勝カップを二人は照れくさそうに、受け取りました。その様子を見ていた選手は大きな拍手を送っていました。応援に来ていた先輩たちも、新入部員たちも、みんな大きな拍手を送っていました。

 子どもたちは、思いもかけないことを、まったく自然に、さりげなく行うものです。
 子どもたちは大人の想像をはるかに超えた行動をするものです。
 大人の心が大きく震えるほどの感動を子どもたちは与えてれくれます。

2019年08月15日