成人式での再会

成人式での再会

 成人式は、教え子たちとの再会の時です。中学校を卒業して五年間ほどですが、教え子たちは大きく成長しています。
 三年間私のクラスだった生徒も多く、入学式のこと、家庭訪問での保護者との会話、遠足・修学旅行などの学校行事、さまざまな問題行動まで、三年間の中学校生活を鮮明に思い出しました。

すべてが勉強だった

 彼らが中学生のとき、いくつかの問題が学校で起きていました。私の注意に対し、竹刀で殴りかかろうとしてきた生徒がいました。「ここで殴りかかられたら、今までの私の気持ちは彼には通じていなかったんだな。」と思いながら、竹刀を振り上げた彼にぐっと近づきました。彼は、私の思いもよらぬ接近にその竹刀をそっと足元に下げました。
 親への反抗もありました。家庭訪問し、父親ともめている彼を家から連れ出し、私の車で彼の気持ちが落ち着くまで走り回ったこともありました。また、夜遊びをして、朝、起きられずに遅刻が多くなった彼の家に、朝、家庭訪問し、彼の部屋に入り、布団をはがし、起こしたこともありました。彼は他校の生徒との関係ができ、行動範囲も広がり、私もクラスメイトも心配することが多くありました。
 でも、クラスメイトは、彼が学校を休んだときも連絡をし、いつでも、彼をクラスの中に受け入れようとしました。

いつでもみんな一緒でした

 中学校を卒業し、数年後にクラス会が行われました。彼らが選んだ会場は、卒業をした中学校でした。しかも三年生のときの教室を会場にしたのです。みんなが教室に集まり、懐かしい話で教室は盛り上がっていました。ジュースもお菓子もないクラス会の会場ですが、みんな笑顔でいっぱいでした。
 そのとき、「みんな、中学校を卒業したときに座っていた自分の場所に座ろうよ。」と、どこからか声が聞こえました。さっと、全員が席に着いたのです。卒業してから数年経っているにもかかわらず、全員が自分の席を覚えていたのです。もちろん、彼もです。
「じゃ、先生。今から、朝の会(朝の学級活動)を始めてよ。」という声がしました。「今日は、あいつ寝坊してないだろうな。」との声に、みんなが大笑いしながら彼の方を見るのです。

先生、紹介したい仲間が

 成人式の式典が終わり、懇親会が始まると、彼が「紹介したい人がいるから、ちょっと来て。」と私を呼ぶのです。彼は私を成人式の会場の入り口の方へ案内しました。
 そこには中学校時代に彼と共に行動していた他校の生徒たちが数人集まっていました。彼は私をその生徒たちの前で、「これが俺の担任だよ。中学校の頃、話していた担任だよ。先生がいなかったら俺、もっと駄目になっていたと思うよ。」と紹介してくれたのです。

 今、彼は20人ほどの従業員がいる会社の経営を始めています。

2019年08月18日