一本のほうきから生まれたもの

一本のほうきから

 教育行政から学校への勤務となったとき、学校へ戻ったら、「あれもしたい、これもしたい」といろいろ考えていました。その一つが掃除でした。
 始業式の日から、毎朝、生徒昇降口付近を掃除しました。毎日一本のほうきで掃除をしているだけなのですが、いろいろなことが変わっていくのに驚いています。

生徒のあいさつに感動を

 毎朝、昇降口付近を掃除しながら、子どもたちにあいさつをしていました。声をかけるとすべての子どもが元気に「おはようございます」とあいさつをしました。朝の子どもたちのさわやかな声に元気をもらっていました。このあいさつも、数日、経つと変化がありました。
 掃除をしていて登校してきた生徒に気づかないでいる私の背中越しに子どもたちが「おはようございます」と声をかけてくれるのです。驚くことに、20メートル以上はなれた場所から大きな声で「おはようございます」と帽子を取りながらあいさつをしてくれる野球部の生徒も出てきました。
 陸上部が校舎周りを走っています。息が切れているにもかかわらず、昇降口を通り過ぎるとき「おはようございます」と声をかけてくれるのです。
 子どもは純粋です。素晴らしいと実感しています。

つまさきで歩く生徒

 昇降口付近を掃除していると思いがけないことも起きます。
 私の横をあいさつしながら通り過ぎた女子生徒がつま先で歩きながら昇降口に入っていくのです。私が掃除をした場所を汚したらいけないと思って、つま先で歩いていたのです。
 笑いながら「いいんだよ。普通に歩けば」と声をかけました。彼女も私を見て、自分の行動に苦笑いをしていました。子どもって純粋ですね。

声をかけてくれる人々

 ある日、「先生、見て」と朝の昇降口で声を掛けてくれた女子生徒がいました。彼女の指さす場所を見ると、ツバメが巣を作っているのです。「先生、今年もツバメが来たよ。去年もここに巣を作ったんだよ。」と教えてくれました。
 さりげない会話でしたが、とてもうれしく思いました。担任でもなく、授業も教えていない私に、親しく声をかけてくれるのです。二人でツバメの巣をじっと見上げていると、あとから登校してきた生徒たちも、その場に集まってきました。

 地域ボランティアとして、毎朝、子どもたちの登校を見守ってくれる方がいます。その方々とも自然と声をかけるようになりました。地域の方とも自然とあいさつをするようになりました。

ほうきの力

一本のほうきで、毎朝、掃除をしているだけなのですが、日々の変化に驚きました。ほうきのすごい力を感じました。

子どもたちと「おはよう」で始まる一日は、毎日充実の日々でした。

子は宝です

2019年09月21日