不登校だったんだ(子どもの心)

子どもの心

「胸をはずませて、中学校へ入学して、はや三年。あまり登校もしない僕にとって二年生の時の体育祭は、忘れもしない思い出があります。

僕のお父さんが、お弁当を持って応援に来てくれたのです。とても嬉しかったです。体育祭の練習は、なにもしなかったけれど、当日の競技はがんばりました。僕のお父さんはその年の十月に病気で突然亡くなってしまいました。ショックでした。でも、お父さんのためにもこれからがんばりたいと思います。

三年生になって一度も学校へ行っていないけれど、卒業式を楽しみにしています。先生にはお世話になりました。学校を卒業してもいい思い出になるようにしていきたいです。これからもがんばってやっていきます」

これは男子生徒が卒業文集に書いたものです。

また、中学二年生から不登校になった生徒は卒業文集に次の宮沢賢治の詩を全文書いたのです。

雨ニモマケズ 風ニモマケズ 雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ 慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル 一日ニ玄米四合ト 味噌ト少シノ野菜ヲタベ アラユルコトヲ ジブンヲカンジョウニ入レズニ ヨクミキキシワカリ ソシテワスレズ 野原ノ松ノ林ノ蔭ノ 小サナ萱ブキノ小屋ニヰテ 東ニ病気ノコドモアレバ 行ッテ看病シテヤリ 西ニツカレタ母アレバ 行ッテソノ稲ノ束ヲ負ヒ 南ニ死ニソウナ人アレバ 行ッテコハガラナクテモイゝトイヒ 北ニケンクワヤソショウガアレバ ツマラナイカラヤメロトイヒ ヒドリノトキハナミダヲナガシ サムサノナツハオロオロアルキ ミンナニデクノボートヨバレ ホメラレモセズ クニモサレズ サウイフモノニ ワタシハナリタイ

 不登校だったもう一人の生徒は「透明人間」という詩を書きました。

 透明人間
 イタイココロ チクチク つきささる ずきずき鳴り響く 私を消さないで あなたの中から消さないで 私はあなたの一部 ほんの一部

 サミシイココロ 私を離さないで あなたから離さないで 惨めな私は昔のあなた それでも尊いもののはずだから……
 悲シイココロ シクシク 泣いている 優しくされたいなんて そんなこと少しも望んでいない ただここにいる私を認めてほしい それだけ ただそれだけのこと……

こんなにも真剣に心の内を訴えている子どもたち。その心に触れたとき、大人として、教師として、もっともっと何かができていたのではと思います。

 文字で伝えてきた子どもたちの心。どんなに辛く、悲しく、寂しく、それでもじっと自分の心と向かい合っていたのだと思います。
小学校の時にいじめにあっていた生徒が言いました。「いじめられていることを親に言うと、心配かけちゃうから言えなかった」と。「何でも話して」と大人は言うけれど……。
(子は宝です)

2020年03月01日